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イルカは同じ世界を見ている

2014.01.20

 視力が弱いとされていたイルカにも、ヒトやチンパンジーに似た視知覚能力があることが、京都大学霊長類研究所の友永雅己准教授らの研究で分かった。3者が同じ“図形合わせ実験”を行い判明したもので、水中と陸上という違った生活環境でも「見ている世界は一緒」と言えそうだ。

 実験は、名古屋市の名古屋港水族館にいるハンドウイルカ3頭に、○×△□などの9種類の幾何学図形を1枚見せ、次に見せた2枚のうちから同じものを、鼻で突っつく方法で選ばせた。同様な実験を、霊長類研究所のチンパンジー7頭にはパソコン画面で、同水族館ボタンティア20人には質問用紙を使い行った。

 その結果、イルカたちの正答率は84%、チンパンジーは92%、ヒトは完全正答に近かった。図形の特徴と“間違い率”との関係では、3者ともに○や□などの「閉鎖図形」の組み合わせでの間違いが多く、3者が同じように“似ている”と判断した。斜め線を含む図形に対しても、3者が類似する知覚をもつことが分かったという。

 イルカの視力は0.08程度で、水中では音波を頼りに獲物を捕ったり、仲間とのコミュニケーションを交わしたりしていると考えられていた。その一方、水族館などのイルカはトレーナーのサインを正しく理解し、イルカ同士でのキャッチボールや、鏡に映った自分の映像を自分と認識することもできる。今回の実験で、イルカは人が思う以上に視覚に依存し、世界を認識していることが確かめられた。

 研究は、文部科学省の科学研究費補助金・基盤研究(S)「海のこころ、森のこころ-鯨類と霊長類の知性に関する比較認知科学-」によって行われた。研究論文“How dolphins see the world: A comparison with chimpanzees and humans”は、英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。

イルカとチンパンジーの実験の様子
イルカとチンパンジーの実験の様子
(提供:京都大学)

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