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新型の“海中”燃料電池システム

2013.11.28

 海洋研究開発機構と三菱重工業(本社・東京都港区)は、海中で長時間働く、新しいガス循環系構造を採用し小型化した燃料電池システムを開発し、実際の海域での試験に成功したことを発表した。海底設置型の観測機器や海中探査機などの電源に用いることで、より長期的な海洋観測や調査が可能になるという。

 開発したのは「高効率マルチ・レス(HEML)燃料電池システム」。水素と酸素が反応する単電池を積層(スタック)した燃料電池スタックの2系統を、水素・酸素ガスの開閉バルブの一定間隔の切り替えで、直列につなげる仕組みだ。これにより、「ガス循環器を使わず」(ブロワー・レス)、燃料電池スタックを湿潤状態に保つための「加湿器を必要としない」(ヒュミディファイア・レス)、燃料電池スタックの密封化によって「水素リークしない」(リーク・レス)——といった“マルチ・レス”を実現した。発電で生成される水を海中に放出しない完全閉鎖式システムは、深海巡航探査機「うらしま」の電源として2003年に開発している。

 今年9月の実海域試験では、開発した“HEML燃料電池システム”を海洋調査用曳航体「ディープ・トウ」に搭載して最大で水深180mまで潜航させ、電力を同時に2つの観測機器に供給した。最大出力200ワット、2時間の安定した電力供給が確認できた。連続発電性能の試験については、日程や供給する水素ガス、酸素ガスの都合上、海中では困難だったために陸上で行った。発電効率60%(「うらしま」時は54%)、600時間の連続発電性能を確認できた。

 これらの試験確認により、小型で高効率、高信頼性の燃料電池システムの実用化にメドがついたことから、今後は本格的な数キロワット級の閉鎖式燃料電池システムの開発に向けて取り組むという。

HEML燃料電池スタック(大きさ約24センチ立方)
HEML燃料電池スタック(大きさ約24センチ立方)
海域試験模式図
海域試験模式図
(提供:海洋研究開発機構)

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