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ストローで操作する“息な”パソコン・マウス

2013.11.05

 手指で動かすマウスの代わりに、ストロー管を通して息を吹いたり、吸ったりすることでカーソルを上下左右に動かしてパソコンを操作する、世界でも初めてのシステムを近畿大学生物理工学部・人間支援ロボット研究室の北山一郎准教授と中川秀夫准教授らが開発した。

 ストロー管からの空気の流量や方向をセンサーで捉え、その信号をカーソルの動きに変換する仕組み。ストロー管を口にくわえ、息を強く吹く/弱く吹く/強く吸う/弱く吸うの4種類の呼気・吸気で、パソコン上のカーソルの上下左右の動きをコントロールする。マウスの右クリック・左クリックも、息を「短く強く吸う、吹く」ことで行い、ダブルクリックは2回続けて吹く。パソコンのキーボード画面から直接、文字を入力することもできる。

 これまでにも、息で機器を操作する仕組みはあったが、主にテレビや照明などの電源のオン・オフ程度に使われているものだった。パソコンでは、視線を動かして操作できる仕組みも開発されているが、機器が大がかりでコストも高くなる。今回のシステムの製作費は10万円ほどだが、汎用部品を活用すれば半額程度で実用化できるという。

 「このシステムを使うことで、重度障がい者がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用しやすくなる。他者とのコミュニケーションがいっそう図られることで、障がい者の“生活の質”の向上にもつながるのではないか」と、北山さんらは話している。

ストロー管をくわえ、画面上のカーソルを動かしている様子(提供:近畿大学)
ストロー管をくわえ、画面上のカーソルを動かしている様子(提供:近畿大学)

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