佐賀県内で約7,000年前の遺跡から出土した犬の骨について、佐賀市教育委員会が調査結果を公表した。犬の骨のDNA解析では、柴犬や秋田犬などと同じ遺伝子の組み合わせタイプを持つことが分かり、これら日本在来の「日本犬」の祖先が縄文時代早期にまでさかのぼれることになった。
犬の骨は、佐賀市金立町の「東名(ひがしみょう)遺跡」の貝塚群から2004-07年の発掘調査で107 点が出土した。このうちの頭蓋(がい)骨や下顎(かがく)骨などの鑑定を、慶應義塾大学の佐藤孝雄教授らの研究チームに依頼していた。
DNA解析の結果、遺伝子の組み合わせのM1タイプが現生の柴犬、秋田犬、紀州犬と一致し、M20タイプも柴犬、琉球犬と一致した。M1タイプは、これまでに国内の縄文時代の遺跡から出土した犬(縄文犬)の骨から初めて確認された。犬の骨の出土例は神奈川県横須賀市の「夏島貝塚」(約9,500年前)が国内最古だが、骨の量が少なくDNA解析はできなかった。
推定される犬の姿は、頭部から吻(ふん)部にかけての横顔が直線的で、これまで確認されている縄文時代前期から晩期までの犬の特徴と同じだった。体高は43-47センチメートルと、縄文犬としては大きな部類だった。また、上顎骨には前臼歯が生前に失われた痕跡があり、「猟犬として獲物の攻撃や捕獲に当たっていたと考えられる」という。
(* いずれも佐賀市教委の発表資料から)