アジアの高校生や大学生が集まり、ノーベル賞受賞者などの世界のトップレベルの科学者と交流する「アジア・サイエンス・キャンプ」が8月25-30日、茨城県つくば市で開かれ、23カ国・地域から198人(日本人は33人)が参加した。生徒・学生たちは科学者の講演や直接の対話セッションを通して科学への興味を深め、研究ポスターづくりなどを体験してお互いの親交をあつくした。
アジア・サイエンス・キャンプは、「アジアの若者たちのために」と2002年ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊さんと1986年ノーベル化学賞受賞者のユアン・リーさん(台湾)が2005年に発案した。07年に第1回のキャンプが台湾・台北で開かれ、その後、毎年持ち回りで、インドネシア・バリ、日本・つくば、インド・ムンバイ、韓国・テジョン、イスラエル・エルサレムと開かれてきた。第7回の今回は日本(つくば市)で2度目の開催で、科学技術振興機構(JST)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が主催した。
科学者はユアン・リーさんのほか、江崎玲於奈さん(73年ノーベル物理学賞)、小林誠さん(08年ノーベル物理学賞)、小谷元子さん(東北大学原子分子材料科学高等研究機構・機構長)、村山斉さん(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構・機構長)、根岸英一さん(08年ノーベル化学賞)、アダ・ヨナットさん(86年ノーベル化学賞)。小柴さんは、つくば国際会議場での開会式にビデオ・メッセージを寄せ、各国・地域からの多くの若者たちの参加を歓迎した。
生徒・学生たちは大ホールでの各科学者たちの講演に熱心に耳を傾け、さらに国・地域がバラバラとなった混成チームを作って、ディスカッション・セッションに参加した。科学者に突っ込んだ質問する学生たちや、石けん水を使った実験では、生じた疑問について説明を求める生徒たちの姿もあった。
最終日には、各チームが作成した研究ポスターの発表会も会議場内で開かれた。2日前から自分たちで話し合い、資料を集めるなどして取り組んだ生命科学やナノテクノロジー、宇宙論、地球の環境問題などといったさまざまなテーマについて、得意げに生徒・学生たちは説明し、いろいろな質問にも熱心に答えていた。ポスター発表の審査も行われ、受賞した各チームは大喜びしていた。