大学や公的研究機関、企業などによる産学官連携活動で大きな成果を収め、活動推進に貢献した成功事例を称える今年度の「産学官連携功労者表彰」の受賞者が決まった。内閣総理大臣賞には、「100ギガビット級の超高速光伝送システム技術」の研究開発に貢献した東京大学大学院の菊池和朗教授と日本電気、富士通、三菱電機の3企業が選ばれた。
産学官連携功労者表彰は、総合科学技術会議が2003年度から毎年行っているもので、今回が11回目。関係省(総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省など)からの推薦を受けて、表彰選考委員会が各賞の受賞にふさわしい事例を選考し、関係府省や団体が各賞の受賞者を決定した。
今回は内閣総理大臣賞(1件)、科学技術政策担当大臣賞(1件)、総務大臣賞(1件)、文部科学大臣賞(2件)、厚生労働大臣賞(1件)、農林水産大臣賞(1件)、経済産業大臣賞(2件)、国土交通大臣賞(2件)、環境大臣賞(1件)、日本経済団体連合会会長賞(1件)、日本学術会議会長賞(1件)が計41人・団体に贈られる。
授与式は8月29日10時-11時半、東京都江東区の東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催の「イノベーション・ジャパン2013」(29-30日)で行われる。同会場では内閣総理大臣賞プレゼンテーションや各受賞内容のパネル展示も行われる。各賞の受賞事例名、受賞者は次の通り(敬称略)。
「内閣総理大臣賞」
100ギガビット級超高速光伝送システム技術の研究推進及び成果展開:日本電気、富士通、三菱電機、東京大学大学院工学研究科教授・菊池和朗
「科学技術政策担当大臣賞」
「多発性硬化症治療薬フィンゴリモド」の開発:田辺三菱製薬研究本部先端医療研究所所長・千葉健治、京都大学名誉教授・藤多哲朗、タイショーテクノス開発部長・佐々木重夫
「総務大臣賞」
ネットワーク音声翻訳技術の実用化:情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所多言語翻訳研究室室長・隅田英一郎、フィート代表取締役社長・小林照二、成田国際空港代表取締役社長・夏目誠
「文部科学大臣賞」
血管内治療の技術トレーニングのためのテーラーメイド超精密手術シミュレータの開発:名古屋大学名誉教授・名城大学教授・福田敏男、ファイン・バイオメディカル代表取締役・池田誠一、名古屋大学教授・新井史人
レアメタルフリーLiFePO4正極の量産プロセス開発:九州大学先導物質化学研究所准教授・岡田重人、三井造船技術開発本部千葉技術開発センター技師長・八田直樹、三井造船事業開発本部LIB事業室室長・阿部一雄
「厚生労働大臣賞」
「顧みられない熱帯感染症」創薬研究データベースの開発:東京工業大学大学院情報理工学研究科教授・秋山泰、東京大学大学院医学系研究科教授・北潔、アステラス製薬熱帯感染症研究チーム
「農林水産大臣賞」
メチル化カテキン高含有「べにふうき」緑茶とそれを利用した外用剤の開発:農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所食品機能研究領域長・山本(前田)万里、バスクリン取締役・谷野伸吾
「経済産業大臣賞」
試作コインランドリ-豊富な設備とノウハウを提供するMEMS開発オープンプラットフォーム:東北大学マイクロシステム融合研究開発センター准教授・戸津健太郎、メムス・コア代表取締役社長・本間孝治
マイクロドーズ臨床試験を活用した革新的創薬支援技術の開発・事業化:理化学研究所杉山特別研究室特別招聘研究員・東京大学名誉教授・杉山雄一、積水メディカル代表取締役社長・福田睦、摂南大学薬学部教授・山下伸二
「国土交通大臣賞」
地盤のリアルタイム液状化判定装置(ピエゾドライブコーン)の開発:港湾空港技術研究所耐震構造研究チーム・大矢陽介、応用地質エンジニアリング本部地盤解析部副部長・澤田俊一、港湾空港技術研究所特別研究官・菅野高弘
高性能レーダ(XバンドMPレーダ)によるゲリラ豪雨のリアルタイム観測の実現:国土技術政策総合研究所河川研究部、防災科学技術研究所客員研究員・眞木雅之、中央大学理工学部教授・山田正
「環境大臣賞」
風レンズ技術による高効率風車の開発:九州大学応用力学研究所所長・大屋裕二、准教授・烏谷隆、准教授・内田孝紀、リアムウインド開発部・西村秀喜
「日本経済団体連合会会長賞」
産学垂直連携・共同研究体「TPEC」の創成:産業技術総合研究所、富士電機、アルバック
「日本学術会議会長賞」
半導体製造などで使用される高効率紫外レーザー光源(CLBO波長変換素子)の実用化:大阪大学名誉教授・大阪大学光科学センター特任教授・佐々木孝友、大阪大学教授・森勇介、光学技研代表取締役・岡田幸勝