日本国内から出土した1万1800年前から1万5000年前の縄文時代草創期の土器から、魚などを調理したとみられる痕跡を、英国のヨーク大学や新潟県立歴史博物館、福井県立若狭歴史民俗資料館などの研究チームが見つけた。農耕が始まる前の狩猟採集時代の土器は食糧の貯蔵用とも考えられていたが、実際には煮炊き用にも使われていたことを示すもので、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
チームは、北海道や新潟、福井、長野、鹿児島各県の13遺跡から出土した縄文式土器の破片計101個を集め、表面の付着物を分析した。その結果、ほとんどから炭化した残留物が見つかり、福井県若狭町の「鳥浜遺跡」や北海道帯広市の「大正3遺跡」の土器片からは、魚の油成分由来とみられる脂肪酸が検出された。
検出物には、海産系と淡水産系の成分がみられることから、内陸部にある遺跡の住民たちが、サケのように海から川に上がってきた魚を調理していた可能性もある。ただし、日常的に食べていたかどうかは分からない。共同研究者の中には「儀礼に使った可能性もある」との見方もあるようだ。