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“着床式”洋上風力発電が実証運転

2013.03.12

銚子沖で実証運転を開始した洋上風車(左)と洋上風況観測タワー(右)
(提供:新エネルギー・産業技術総合開発機構)
銚子沖で実証運転を開始した洋上風車(左)と洋上風況観測タワー(右)
(提供:新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京電力が共同で、千葉県銚子市の沖合約3キロメートルに建設していた洋上風力発電設備(出力2,400キロワット)が完成し、本格的な実証運転を開始した。今回の風力発電設備は基礎部分を海底に固定した「着床式」で、遠浅の沖合に設置したのは国内で初めてという。

 水深約12メートルの沖合に完成したのは、海面からの高さが80メートルの鋼管支柱と直径92メートルのローターからなる洋上風車、および約285メートル離れた位置に設置された、海面からの高さ100メートルの洋上風況観測タワー。同タワーには、レーザー光線の照射によって風の動きを観測する「ドップラーライダー」や鳥類レーダー、各種風速・風向計などが設置されている。

 風車で作られた電力は、海底ケーブルで陸地に送電する仕組み。実証運転では、風車の信頼性や継続的に発電を行うために不可欠なメンテナンス技術などを検証し、沖合洋上風力発電の導入や普及に必要な技術の確立を目指す。NEDOは、北九州市の沖合1.4キロメートルの海域でも洋上風力発電施設(出力2,000キロワット)の建設を進めている。

 洋上風力発電は、海底に土台で固定する「着床式」が海外では主流だが、日本では適した遠浅の海域が少なく、普及が進んでいない。環境省は、土台が不要で、海上に風車を浮かせる「浮体式」の洋上風力発電の開発に取り組み、長崎県・五島列島の椛島(かばしま)沖の水深約100メートルの海域に、国内初の浮体式洋上風力発電の試験機(ローター直径22メートル、出力100キロワット)を設置し、運転を始めている。さらに新年度からは椛島沖で出力2,000キロワットの実証機を設置し、2016年度の実用化を目指す。

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