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26世代のクローンマウス計598匹

2013.03.11

20世代目の再クローンマウス。下の白色マウスは代理母マウス
20世代目の再クローンマウス。下の白色マウスは代理母マウス (提供:理化学研究所)

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センターのゲノム・リプログラミング研究チームの若山照彦チームリーダー(現・山梨大学生命環境学部教授)や東京医科歯科大学難治疾患研究所の幸田尚・准教授などの共同研究グループは、2005年末から1匹のマウスをもとにクローンマウスを代々作り続け、現在、26世代、計598匹の再クローンマウスを誕生させていることを明らかにした。哺乳動物のクローン作出は、優良家畜の大規模な生産や絶滅危惧種の保全を可能にする技術として期待されるという。

 クローンマウスは、元になるマウスの体細胞の核を、別のマウスの核を除去した卵子に移植し、さらに雌のマウスの子宮に入れて作る。こうしてできた1世代目のクローンマウスから再びクローンマウスを作り、さらに代々のクローンマウスを作ろうとすると、従来のクローニング技術では、核移植を繰り返すごとに出産率は低下し、マウスでのクローン化は最長6 世代が限界だった。またウシとネコでは2 世代まで、ブタでも3世代が限界だった。原因は、核の遺伝子の働きを細胞分裂が始まる前の初期状態に戻しきれなかったことで生じる、クローン技術特有の「初期化異常」が代々の核移植のたびに蓄積するためと考えられていた。

 研究グループは、1998年に最初のクローンマウス作出に成功後、初期化の促進や核へのダメージを最小限に抑える技術的改良などに取り組んだ。2005年には、「トリコスタチンA(TSA)」という薬剤を核移植後の培養液に加えると、初期化異常を改善し、クローンマウスの出産率が約6倍に高まることを発見した。これを用いて同年末から、1匹のドナーマウスをもとに再クローニングの継続に挑戦していた。

 その結果、現在は26 世代目、598 匹が誕生した。核移植の出産率は1 世代目の7%から上昇傾向を示し、最高で15%を達成した。さらに、これらの繁殖能力、寿命、細胞年齢の指標となる染色体末端の「テロメア」の長さなどに異常がないことを確認し、初期化異常も蓄積しないことが明らかになったという。

 研究論文は米科学雑誌「セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)」(オンライン版、7日)に掲載され、マウスたちの写真が表紙に採用された

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