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仲間の情動に反応するチンパンジー

2013.03.01

 チンパンジーが仲間の表情を素早く察知していることが、京都大学霊長類研究所の平田聡・特定准教授や東京大学などの研究グループによる脳波測定の実験で分かった。チンパンジーが「音声」や「接触」以外に、高度なコミュニケーション能力を持つ可能性を示すもので、研究論文は英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(26日、オンライン版)に掲載された。

 研究グループは、岡山県玉野市の「林原類人猿研究センター」で飼育のチンパンジー「ミズキ」(雌、実験当時11歳)の頭部に電極を付けて実験した。野生のチンパンジーが毛づくろいしている姿や餌を食べている姿などの日常的な中立画像12枚と、歯をむき出しておびえている表情などの「情動」画像3枚を混ぜて、それぞれ0.8秒間ずつモニターで見せ、脳波を調べた。その結果、くつろいだ日常の画像では特に変化はなかったが、情動画像の場合は、見てから0.21秒後に大きな波形の変化が現れた。

 このことは、チンパンジーが画像のみから他者の情動状態を判別し、その脳内処理が画像を見てわずか0.2秒後には始まっていたことを示す。ヒト以外の霊長類を対象に情動の処理過程を調べた脳波研究は他に例がなく、世界初の成果だという。

研究に用いた3枚の情動画像(上段)と12枚の日常的な中立画像
研究に用いた3枚の情動画像(上段)と12枚の日常的な中立画像(提供:京都大学)

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