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DNA二重らせんを直接撮影

2013.02.28

 京都大学工学研究科の山田啓文・准教授や京都大学産官学連携本部の小林圭・助教らのグループは、独自に開発した「周波数変調(FM)原子間力顕微鏡(AFM)」によって、水溶液中にあるDNA(デオキシリボ核酸)の二重らせん構造を撮影した。従来のAFMでは観察できなかった二重らせん構造の基本部分も明瞭にとらえられた。

 周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)は、液体中で探針と試料との間に働く微弱な力(原子間力)を測定しながら、試料の上を探針でなぞることによって画像化する。従来のAFMでは、探針を試料に接触させて測定するため、試料の構造変化やダメージが問題となっていたのに対し、FM-AFMは非接触で測定するので、DNAやタンパク質分子などの柔らかい生体分子試料を破壊することなく、液体中で“生きたまま”の状態をナノ(1メートルの10億分の1)スケールで観察できる。

 DNAの二重らせん構造は1953年に、ジェームズ・ワトソン(1928年-)とフランシス・クリック(1916-2004年)の2人が解明した(1962年ノーベル医学生理学賞受賞)。これまでのエックス線や電子顕微鏡による解析ではDNAの結晶化が必要だったが、研究グループはFM-AFMで大腸菌のプラスミドDNAを直接観察し、二重らせん構造によって交互に現れる、幅の広い溝(主溝)と幅の狭い溝(副溝)の様子も分かった。

 研究論文“Beyond the Helix Pitch: Direct Visualization of Native DNA in Aqueous Solution” は米国化学会誌「ACS Nano」(2013年2月号) に掲載され、写真は表紙にも採用された。

「周波数変調原子間力顕微鏡」(FM-AFM)でとらえた二重らせんDNA分子の画像(a)水溶液中における分子像 (b)部分拡大像 (c)二重らせんの構造モデル(提供:京都大学)
「周波数変調原子間力顕微鏡」(FM-AFM)でとらえた二重らせんDNA分子の画像(a)水溶液中における分子像 (b)部分拡大像 (c)二重らせんの構造モデル(提供:京都大学)

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