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新繁殖地の島でアホウドリが初産卵

2012.12.06

確認されたアホウドリのペアと卵
確認されたアホウドリのペアと卵

 国の特別天然記念物で、絶滅危惧種にも指定されているアホウドリのひなを、繁殖地の伊豆諸島・鳥島から小笠原諸島・聟島(むこじま)に移し、新しい繁殖地をつくるプロジェクトに取り組んでいる山階鳥類研究所と環境省は5日、聟島から巣立って里帰りした雄と野生の雌との間で産卵が初めて確認されたと発表した。アホウドリは巣立ってから、ベーリング海やアラスカ沿岸、米国西海岸まで飛来するとみられており、今回、里帰りした雄は、足環から、2008年に聟島から巣立ったことが分かった。

 このプロジェクトでは、アホウドリが生息している鳥島は活火山で噴火の恐れがあり、繁殖域の地形の浸食も進んでいることなどから、2008年2月から12年2月までの5年間に計70羽のひなを聟島に移送し、このうち69羽を巣立たせることに成功した。

 聟島では、同研究所とNHKが共同で設置した監視カメラで動画を撮影し、後日、録画データを回収して観察映像を分析している。そのうち11月14日の映像で、雄雌のペアと巣の中に卵1個があるのが確認された。卵は約2カ月でふ化することから、順調ならば来年1月にはひなが誕生しそうだという。

 なお同プロジェクトは、同研究所が環境省や東京都、米国魚類野生生物局、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金などの支援を得て行っている。

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