英王立協会は、人類の飲食史上で最も重要な発明“20選”を決めた。第1位は冷凍技術、第2位はワインやミルクなどの低温殺菌法、第3位は缶詰製造技術と、上位には比較的近代的な技術が入ったが、牛馬に引かせる農具の「犂(すき)」(プラウ)や漁網、コルク、鍋、ナイフなども選ばれた。
選定は、協会会員や飲食産業の専門家らが、手軽さと生産性、美観、健康の4つを基準に投票し、100件のモノや技術から20件に絞り込んだ。
このうちトップ3は、18世紀から19世紀に英仏の科学者によってもたらされた。人工冷凍法は1748年にスコットランドのグラスゴー大学のウイリアム・カレンがエーテルの気化熱を利用して氷を作る公開実験をしたのが最初で、1805年には商業化された。低温殺菌法は1862年に、フランスのパスツールらによって最初はワインの殺菌法として発明された。食品保存のためのブリキを使った缶詰は1810年に英国の商人(ピーター・デュランド)によって発明され、特許を取得した。それ以前にフランス人(ニコラ・アペール)がコルク栓をしたガラス瓶で保存する方法を発明していたが、破損しやすい欠点があったという。
選定委員長を務めたピーター・ウィリアムズ卿は「投票結果は、私たち人類の健康や生活の向上に、科学や技術革新がいかに大きな役割を果たしてきたかを示すものだ。21世紀においても科学は、世界的な挑戦への重要な任務を持っている」と話した。
飲食の重要発明“20選”は次の通り。
- 冷凍技術
- 低温殺菌法/殺菌法
- 缶詰製造技術
- オーブン
- 灌漑(かんがい)技術
- 脱穀機/刈取り脱穀機
- パン焼き技術
- 品種改良技術
- 製粉技術
- 犂(すき)
- 発酵
- 漁網
- 農作物の輪作
- 鍋
- ナイフ
- 食器
- コルク
- 樽(たる)
- 電子レンジ
- 油を使った調理法