国立科学博物館(東京都台東区上野公園)は、国民の生活や経済、文化などに影響を与えた、次世代に継承していくべき「重要科学技術史資料」(愛称、未来技術遺産)として国産第1号の自動車タイヤや携帯型ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」1号機など、新たに21件を登録した。2008年度からの登録件数は計113件となった。
登録資料のパネル展示を9月11日から11月4日まで、同博物館で行う。
登録された21件は次の通り。〈製作年、製作者〉
- 日本で最初期に使われた自動製缶装置:自動製缶機(インバーティッドキャンボディメーカー)〈1912年、アメリカン・キャン・カンパニー〉
- 国産第1号の自動車タイヤ:自動車タイヤ国産第1号〈1913年、ダンロップ護謨〉
- 世界最初期のクロード法アンモニア合成装置:クロード法によるアンモニア国産化史料(アンモニア合成管用台盤〈1923年、フランス製〉、安母尼亜合成運転日誌〈1928年、クロード式窒素工業〉、アンモニア分離器〈1930年、フランス製〉)
- 実用となる世界初の小形ディーゼルエンジン:小形横形水冷ディーゼルエンジン HB-5〈1933年、ヤンマー〉
- 国産初の塩化ビニル製LPレコード:国産初のLPレコード〈1951年、日本コロムビア〉
- チタン製造の草創期から活躍した品質評価装置:チタン品質評価用ボタン溶解炉〈1954〜1960年ごろ、東邦チタニウム〉
- 現存最古のパラメトロンコンピュータ:パラメトロン電子計算機 HIPAC MK-1〈1957年、日立製作所中央研究所〉
- 復元された国産第1号冷凍車:国産第一号機械式冷凍車〈1960・61年、民生ディーゼル工業・矢野特殊自動車製作所〉
- 現存最古の全自動洗濯機:攪拌(かくはん)式全自動洗濯機 SC-AT1〈1961年、日立製作所〉
- 国産初の自動車用の電着塗装:国産電着塗装第1号車と共に塗装されたカーモデル〈1964年、日本ペイント〉
- 国産初の飲料用自動販売機の検銭機:コインメカニズム E-9130〈1967年、エンパイヤ貿易技術研究所〉
- 世界初の作業用ハンド・アイ・システム:人工知能ロボット(ETLロボットMk1)〈1970年、萱場工業〉
- 世界初の自動車電話用電子交換機:D10形自動交換機〈1972年、富士通〉
- 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤:水性高分子イソシアネート系木材接着剤製造開始当初の攪拌釜〈1972年、カツナカ工業〉
- 世界初の液晶電卓:液晶表示電卓 コンペット(EL-805)〈1973年、シャープ〉
- 世界初の完全無冷却技術:無冷却型排気ガスタービン過給機 MET560〈1978年、三菱重工業・長崎造船所〉
- 世界を席巻したウォークマンの第1号機:ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」1号機 TPS-L2〈1979年、ソニー〉
- 世界初の分散制御システム:分散形計装制御システム「CENTUM」〈1979年、横河電機〉
- 日本初の自動車電話:自動車電話 TZ-801形移動機本体〈1980年、松下通信工業〉、TZ-801形1号自動車電話機〈同、日本電気〉
- 世界初のヘリカルスキャンCT:全身用X線CT TCT-900S FLEET〈1991年、東芝〉
- デジタルカメラ普及の先駆け:液晶デジタルカメラ QV-10〈1995年、カシオ計算機〉