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スパコン「京」が9月から本格共用

2012.07.03

 理化学研究所は、富士通と共同開発を進めていたスーパーコンピュータ「京(けい)」の最終的な動作確認試験を終了して完成し、9月末から企業や大学などの共用を開始すると発表した。

 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」計画の一環として、約1100億円を投じて開発され た「京」は、1秒間に1京回(京は1兆の1万倍)の計算ができる。スパコンの性能ランキングでは2011年6月、11月に2期連続の世界1位を獲得した が、12年6月にその座を米IBMの「セコイア」に譲った。

 「京」は昨年8月末に864筐体(きょうたい)全ての搬入、据付が完了した。その後約10カ月間にわたり、大規模システム環境下におけるオペレーティング システム(OS)、ジョブマネージャー、並列化ライブラリなどのシステムソフトウェアの整備・調整を行っていた。6月29日までに全体の動作確認を終え、 完成したという。

 「京」の利用として、▽高速応答で低消費電力のデバイスとして期待される次世代半導体材料(シリコンナノワイヤやカーボンナノチューブなど)のシミュレー ション解析▽膨大な薬剤候補物質の中から、特定のタンパク質活性部位に結合して病気の発症を防ぐ化合物を検索するなど、創薬への応用▽色素増感型太陽電池 の原子・電子レベルの挙動解析シミュレーションによる、エネルギー変換効率の高い太陽電池の開発への貢献▽地震動や津波のシミュレーションによる防災予測 計画や耐震設計への貢献▽大気大循環モデルにおける高解像度シミュレーションによって、集中豪雨などの局所的現象を解明する高精度な気象予測情報の提供 ——などが考えられている。

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