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長周期地震動の情報公表法気象庁が検討開始

2011.11.08

 高層ビルなどに大きな被害が心配されている長周期地震動の揺れを分かりやすく伝える方法について、気象庁は7日、本格的な検討を始めると発表した。

 地震直後に気象庁が発表する震度は、一般の人にもなじみ深いものになっている。しかし、この震度表示は周期が数秒以下の地震動を対象としており、より周期の長いゆっくりした揺れに大きな影響を受ける高層ビルなど長大構造物の揺れや被害の程度を推測することができない。

 気象庁は、翠川三郎・東京工業大学大学院総合理工学研究科教授を座長、福和伸夫・名古屋大学大学院環境学研究科教授を副座長とする「長周期地震動に関する情報のあり方検討会」を発足させ、14日に第1回の検討会を開く。長大構造物がある地域の迅速な被害予測や的確な災害応急体制の確立に役に立つよう、検討会は観測した地震動から長周期成分の特徴を分析し、揺れの大きさや特徴を分かりやすい情報として提供する方法を検討する。

 3月11日の東北地方太平洋沖地震では、首都圏や大阪府の高層ビルなどで実際に大きな揺れが観測された。福和教授によると、東京の80-90階建て高層ビルの40階付近では、左右に2メートル程度揺れ動いたとみられる。ただし、今回はあまりに大きい地震だったため、最も揺れやすいビルの固有周期より地震の震源から放出された地震波の周期の方が長かったことから、揺れの強さもあの程度で収まった、という。

 近い将来、南海トラフで発生する可能性が高い東海地震、東南海地震、南海地震は、今回の東北地方太平洋沖地震よりも東京、名古屋、大阪など人口密集地に近い場所で起きることに加え、地震動が到達するまでに長周期の揺れをたくさん生み出す軟らかい堆積層を途中通ってくることから、今回、東京で経験した何倍もの揺れが予想される、と福和教授は言っている。

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