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消費電力百万分の1 不揮発性トランジスタ開発

2010.12.24

 従来の100万分の1の消費電力で、演算も記憶も行うことができる新しいトランジスタを長谷川 剛・物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点主任研究者、小川 琢治・大阪大学大学院理学研究科 教授、山口 周・東京大学大学院工学系研究科 教授らの研究グループが開発した。

 現在のコンピュータに使われているトランジスタは演算素子(トランジスタ)と記憶素子(メモリ)を組み合わせた形になっている。このためコンピュータは、電源を切ると記憶された情報が保持されず、電源を入れ直しても元の状態に戻るまでに長い時間とエネルギーを必要とする基本的な弱点を抱えている。

 新しく開発されたトランジスタは、半導体中の電子の移動を制御している従来のトランジスタと異なり、わずかな金属原子を絶縁体中で移動させることから、極めて低い消費電力で従来の半導体トランジスタと同様のオン・オフ動作が可能。さらに、電圧の制御によって状態を保持する記憶素子としても働くことが分かった。

 情報通信技術の急速な進歩によって、情報通信関連機器が消費する総電力量はうなぎ登りに増え続けている。これを解決するため消費電力が極めて少なくて済むコンピュータの実現が望まれており、そのためには電源を切っても状態が保持される不揮発性トランジスタの開発が鍵を握っていると言われている。

 新しく開発されたトランジスタは最もエネルギーを食う記憶に要する消費電力が従来素子の100万分の1で済むことから、人間の脳のような柔軟なコンピュータの実現に寄与できる、と研究グループは言っている。

 この成果は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」の研究課題「3端子型原子移動不揮発性デバイス『アトムトランジスター』の開発」(研究代表者:長谷川 剛・物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点主任研究者)によって得られた。

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