宇宙航空研究開発機構は15日、準天頂衛星システム1号機「みちびき」が初期機能試験を終了し、今後さまざまな利用にかかわる実証試験を始めることを明らかにした。
「みちびき」は9月に種子島宇宙センターからH-ⅡAロケットで打ち上げられ、予定の準天頂軌道へ投入された。その後、搭載機器類の機能試験を続け、すべて問題ないことを確認した。
衛星を利用する位置決定技術はカーナビなどに広く利用されているが、データは米国が無料で提供している衛星利用測位システム(GPS)に頼っている。準天頂衛星システムはGPSと観測データ・信号を提供し合うことで全国をほぼ100パーセントカバーする衛星測位サービスの実現を目指している。衛星の軌道がGPSとは異なるのが特徴で、3つの衛星による運用体制が実現すると、必ず一つの衛星が天頂付近に見えるようになり、地形や高層ビルなどに影響されにくい長所が発揮できる。
衛星測位については、2007年にできた地理空間情報活用推進基本法によって政府が推進することが決まっている。「みちびき」による技術の蓄積と評価を経て、2号機以降の衛星打ち上げが予定されている。