地鶏や絶滅の恐れがある貴重な鳥類の効率的な保存・復元を可能にするユニークな方法を農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所と信州大学農学部の研究チームが開発した。
貴重な胚(はい)を使い捨てにすることなく、始原生殖細胞だけを取り出し凍結保存できるのが、最大の特長。岐阜地鶏の胚から取り出した始原生殖細胞を実際に代理親である白色レグホンの胚に移植し、岐阜地鶏を復元することに成功した。
この方法は鶏以外の家禽(かきん)や、絶滅危惧種などの希少鳥類へ応用することが可能で、新たな遺伝資源の保存法として生物多様性の維持に貢献することが期待できる、と研究チームは言っている。
始原生殖細胞は精子あるいは卵子の元になる細胞。胚発生の極めて初期にのみ存在する。研究チームは、始原生殖細胞が発生の一時期に血流中を循環するという鳥類に特徴的な性質に着目し、ふ卵中の受精卵を割って発生中の胚を取り出す従来の方法によらない貴重な遺伝資源の保存・復元法を実現した。