さまざまな薬、食糧、香料の原料となる薬用植物を昔から有効に活用してきた地域の賢人(古老)を招き、薬用植物が豊富な地域を守る方策を考えるシンポジウム「地球の薬箱を救え。Saving Plants that Save Lives」が19日、名古屋市で開かれた。
18日から始まった生物多様性条約締約国会議(COP10)に合わせたイベントとして、トラフィックが開いた。
シンポジウムには、ケニアから狩猟採集や養蜂で暮らす先住民族イヤク族のリーダーであるアンドリュー・ナイネネ・レレコイティエン氏、中国四川省から中国チベットの伝統医薬の臨床や研究に長年携わっている医師、張毅(ヅァン・イー)氏、ブラジルからアマゾンの20万ヘクタールに広がる地域に住むヤワナワ族のリーダー、タシュカ・ヤワナワ氏が、東アフリカ地域の生物多様性と持続的な経済発展の両立、危機に瀕した薬用植物の保全や持続可能な利用を目指す中国・長江上流の地域のプロジェクト、アマゾンのヤワナワ族が昔から行っている染料となる植物「ウルク」の管理された生産などについてそれぞれ講演を行った。
トラフィックは、WWF(世界自然保護基金)とIUCN(国際自然保護連合)によって設立されたNGOで野生生物の取引を監視・調査する約30カ国のネットワークを持つ。9月には、トラフィックやWWFドイツが設立したフェアワイルド・ファウンデーションが、薬用植物の採取や取引について定めたフェアワイルド基準を改定している。シンポジウムでは、公平な取引と薬用・アロマティック(芳香)植物の持続可能な採取の両方を盛り込んだこの新たなフェアワイルド基準についても詳しく紹介された。