来年度から5年間の科学技術振興のあり方を決める第4期科学技術基本計画の策定作業を進めている総合科学技術会議は18日、一般からの意見募集を始めた。意見募集の期間は11月8日までで、寄せられた意見を参考にした上で12月に基本計画をまとめる。
総合科学技術会議は、既に基本計画策定の考え方をまとめた「科学技術に関する基本政策について」をホームページで公開している。
それによると、現在の第3期科学技術基本計画で打ち出されたイノベーション政策と科学技術政策の一体的な推進を図る「科学技術イノベーション政策」を強力に展開することを掲げている。自然科学だけでなく、人文科学や社会科学の視点も取り入れることもうたっている。
中長期的に目標とすべき国の姿として(1)将来にわたり持続的な成長を遂げる国(2)豊かで質の高い国民生活を実現する国(3)国家存立の基盤となる科学技術を保持する国(4)地球規模の問題解決に先導的に取り組む国(5)「知」の資産を創出し続け、科学技術を文化として育む国—の5つを挙げている。
これらの目標を実現する基本計画の2本柱として「グリーンイノベーションの推進」と「ライフイノベーションの推進」が挙げられ、それぞれ「エネルギー供給の低炭素化」や「革新的な予防法の開発」など、具体的な重要課題を設定している。
計画策定の前提となる基本認識としては、頭脳循環(ブレインサーキュレーション)が進み、科学技術とイノベーションの鍵となる優れた人材の国際的な獲得競争がますます激しくなっている国際情勢の変化を指摘している。一方、若い人たちの間で理工系離れが進み、優秀な研究者や技術者が退職年齢を迎えつつある。日本企業のイノベーションシステムの変化への対応はいまだ道半ばで、産業競争力は長期低落傾向から抜け出していない、と日本の状況をみている。