野生生物の個体数は、この40年間で30%減少、特に低所得国では60%余りに達していることが、世界自然保護基金(WWF)などが13日公表した「生きている地球レポート2010年版」で明らかにされた。
この報告書は2年に1度、WWFがロンドン動物学協会、グローバル・フットプリント・ネットワークと共同で発行している。地球上に生息する、2,500種以上の野生生物の個体数変化を追ったものだ。前回の2008年版では「30%近い」とされていた地球全体の野生生物個体数減少がこの2年間でさらに進んだことを示している。
低所得国の中でも熱帯の湖沼や河川といった淡水域にすむ生物種の個体群が70%近くも低下していることが目立つ。
「生きている地球レポート」は、毎回、エコロジカル・フットプリントという指標も示している。「私たち人間のエネルギー消費、食料、消費財などを面積に換算して、どれほどの土地が必要かを表すことで、どれほど人間が自然環境に依存しているかを分かりやすく伝える指標」と説明されている。この指標から、世界全体の消費を支えるために必要な生物生産力は、既に地球が元々持っている生産可能な資源力と、廃棄物の回収力の限界を超えていることを、報告書はあらためて警告した。
2008年版でWWFは「地球環境に対する人類の需要が現在と同じペースで伸びていけば、2030年代の半ばまでには、ライフスタイルを維持するために地球が2個分必要になる」と言っていたが、今回は「2030年までに地球が2個分必要になる」と危機感をさらに強めている。