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ミツバチ減少に関連か?体内温度センサー発見

2010.09.16

 ミツバチが温度と嫌いな物質を敏感に感じ取るセンサーを持っていることを、名古屋大学大学院と自然科学研究機構 生理学研究所の研究者が突き止めた。

 門脇辰彦・名古屋大学大学院生命農学研究科准教授と富永真琴・自然科学研究機構 生理学研究所教授が発見したセンサーは、AmHsTRPAと呼ばれるイオンチャネルで、ミツバチの触覚の中に見つかった。34℃付近でAmHsTRPAが活性化することが確かめられた。このイオンチャネルは、遺伝子重複によりミツバチが進化の過程で獲得したと見られる。

 ミツバチは変温動物で、個体間の協調により巣箱内の温度を常に35℃付近に保つことができる。これによって巣箱内の卵、幼虫、さなぎの発生や成長が保たれているが、どのようにして巣箱内外の温度を感じているのかはこれまで分かっていなかった。

 この数年、世界各地でミツバチが急激に減少する現象が見られ、果樹栽培農家などが受粉のために購入するミツバチの価格急騰や、ミツバチそのものが手に入りにくくなるという深刻な事態が起きている。

 AmHsTRPAの働きを阻害する物質が巣箱内にたまるとミツバチは巣箱内の温度を感知することができなくなり、巣箱内の温度を一定に保てなくなる結果、卵、幼虫、さなぎが死んでしまう。逆に活性化する物質が巣箱内に蓄積してもミツバチは巣箱を放棄してしまう可能性があることから、AmHsTRPAの働きに影響を与える物質がミツバチ減少の要因となっている可能性も考えられる、と研究者たちは言っている。

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