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地球深部探査船「ちきゅう」ドリルパイプなど落下事故

2010.08.03

 紀伊半島沖の熊野灘で海底掘削を行っている地球深部探査船「ちきゅう」のドリルパイプが1日、ウェルヘッドランニングツールの破断により脱落、ケーシングパイプもろとも海底に落下してしまったことを海洋研究開発機構が2日明らかにした。

 同機構のプレスリリースは明らかにしていないが、一部、新聞、通信社の報道によると損失額は1億3,000万円になるという。

 「ちきゅう」は、統合国際深海掘削計画の326次研究航海として7月15日から南海トラフ地震発生帯掘削計画にとりかかっていた。事故は海底下を約868メートルまで掘削し、孔壁の崩れを防ぐため孔内に設置する鋼鉄製ケーシングパイプをつり下げている作業中に発生した。潮流が強まったため掘削孔から北へ9キロ、水深約2,000メートルの海域まで退避した時だった。

 破断したウェルヘッドランニングツールはドリルパイプを保持している器具で水面下約30メートルの所にある。この部分で破断、落下したドリルパイプの長さは約830メートル。また同様に落下したケーシングパイプの長さは約860メートルある。

 新宮港に予備のケーシングパイプがあるというが、8日までの予定だった南海トラフ地震発生帯掘削計画と、続いて琉球列島製法海域で予定されている沖縄熱水海底下生命圏掘削(9月1日-10月3日)、さらに南海トラフ地震発生帯掘削計画第2ステージ(10月23日-2011年1月10日)への影響について、海洋研究開発機構のプレスリリースは何も触れていない。

 「ちきゅう」は、2007年10月にもドリルパイプの締め付けが原因と思われるドリルパイプの回転トルクの上昇によって、先端から約221メートルの長さのドリルパイプが脱落する事故を起こしている。

 また、2008年2月、船位保持装置「アジマススラスター」のギアにクラックや歯こぼれが見つかり、その修理のため南海トラフ地震発生帯掘削計画は、1年4カ月中断を余儀なくされた。

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