文部科学省は15日、世界トップレベル研究拠点(WPI)に九州大学の「カーボンニユートラル・エネルギー研究拠点」を選んだ。
世界トップレベル研究拠点プログラムは、真のセンター・オブ・エクセランス(COE)を国内につくるという狙いから2007年に始まった。日本が世界に誇る強い分野で傑出した研究を行っている機関として、東北大学の原子分子材料科学高等研究機構、東京大学の数物連携宇宙研究機構、京都大学の物質-細胞統合システム拠点、大阪大学の免疫学フロンティア研究センター、物質・材料研究機構・国際ナノアーキテクトニクス研究拠点が選ばれている。各拠点には10年間、毎年5-20億円の研究費が支給される。
6番目の拠点となった九州大学のカーボンニユートラル・エネルギー研究拠点は、高効率で低コストの水素製造、水素吸蔵材料、耐水素脆(ぜい)化材料、次世代燃料電池、物質変換、二酸化炭素(CO2)の分離・回収と地中・海洋貯留、CO2の有用物質への変換など、カーボンニユートラル・エネルギー(低炭素)社会の実現を目指す研究を推進する。既存の5拠点がいずれも日本人研究者を拠点長としているのに対し、米国イリノイ大学のペトロス・ソフロニス教授を拠点長に迎える。
世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムについては、発足1年後の文部科学省フォローアップ委員会による活動評価で、「すべての拠点は海外の主任研究者を招聘(しょうへい)しているが、世界的な拠点の研究者集団形成という意味では、その質と数において不十分。プログラムの10年という長い時間を考えれば、将来性のある優れた研究者を招聘することも積極的に考えるべきである」といった注文も突きつけられている。
昨年11月の行政刷新委員会による事業仕分けでも、「予算要求の縮減」(廃止2人、予算計上見送り1人、予算要求の縮減では半額2人、3分の1縮減4人、その他1人、予算要求通り1人)という厳しい評価結果を示された。