太陽電池による電力と、太陽からの光の粒子を反射する力を利用して飛行するハイブリッド宇宙帆機「ソーラー電力セイル」の小型実証機打ち上げ計画を宇宙航空研究開発機構が9日、宇宙開発委員会に報告した。
小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」は、打ち上げ時は直径1.6メートル、高さ1メートルという小さな円筒形をしているが、宇宙空間で側面にはり付けられている厚さわずか7.5ミクロンの超薄膜太陽帆が長方形(差し渡し20メートル)の大凧(だこ)のように広がる。
太陽帆の一部には太陽電池膜が組み込まれており計画ではこの太陽電池による発電データの取得に加え、太陽からの光粒子の反射力を利用する(ソーラーセイル)の加速効果と航行技術の獲得を目指す。H-IIAロケットにより2010年度に金星探査機「PLANET-C」との相乗り打ち上げを目指している。
燃料を使わず太陽から離れても推進力が得られるソーラーセイルのアイデアは古くからあるが、軽くて広い面積をもつ薄膜の開発が難しくまだ実現されていない。宇宙航空研究開発機構は、「IKAROS」により得られたデータを基に、木星やトロヤ群小惑星の探査などソーラー電力セイルによる太陽系探査を日本が先導したい、と言っている。