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洪水に強いイネの秘密解明

2009.08.21

 
洪水に襲われても急激に草丈を伸ばし水没を免れる浮イネの特性にかかわる遺伝子とその分子メカニズムを名古屋大学などの研究チームが解明した。

 
浮イネは東南アジア、西アフリカ、南米アマゾン川流域で栽培されており、通常の栽培条件下では通常のイネ同様1メートル程度の草丈しなかい。ところが洪水など急激な水位の上昇が起こると草丈が伸び出し、水没を避けることで呼吸を維持する能力を持つ。

 
名古屋大学・生物機能開発利用研究センターの服部洋子・博士研究員、芦苅基行・教授と九州大学、農業生物資源研究所、理化学研究所・植物科学研究センターの研究者たちは、イネが水没すると植物ホルモンの1種でもあるエチレンが発生しイネの体内に蓄積、それによってエチレンに反応する遺伝子が働き、イネの伸長のスイッチが入って伸長が始まることを突き止めた。

 
エチレンに反応するスノーケル1(SNORKEL1)とスノーケル2(SNORKEL2)という遺伝子は、日本で栽培されているイネを初めとする通常のイネにはない。一方、浮イネには洪水には強いが収量に劣るという欠点がある。研究チームは浮イネの染色体断片を交配によって日本の栽培イネに導入し、深水中で背丈が伸びることも確かめた。この研究を進めることで、東南アジアなどの洪水地帯でも高い収量を持つイネ品種の育成が可能、と研究チームは言っている。

 
通常のイネは8,000年かけて野生のイネから栽培に適した性質を持つよう改良されてきたと考えられている。研究チームはスノーケル1(SNORKEL1)とスノーケル2(SNORKEL2)という遺伝子は、野生のイネにも存在することを確かめた。草丈が高いイネは、収穫作業に不都合で風雨で倒れやすいなどの弱点を持つ。洪水のない地域で栽培されるうちに、急激に草丈を伸ばすことにかかわる遺伝子は不要な遺伝子として除去されたのではないか、と研究チームは見ている。

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