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黄砂の10%地球13日で一周し大気中に滞留

2009.07.23

 中国内陸の乾燥地域で発生した黄砂は、地球を一周しても大気中に一部が残ることが、九州大学などの研究グループが開発した解析システムによって突き止められた。

 この解析システムは、鵜野伊津志・九州大学応用力学研究所教授が、国立環境研究所や東京大学海洋研究所などと共同で開発した。

 2007年5月8、9日に中国タクラマカン砂漠で発生した黄砂の動きを解析したところ、タクラマカン砂漠で2日間に舞い上がった黄砂の量は、80万トン。その60%が対流圏上部(高度7-10キロ)を偏西風に乗って移動していた。対流圏上部では降水による除去がほとんどない。

 これらの黄砂は13日かけて地球を一周し、10%が大気中に滞留するという結果となり、米航空宇宙局(NASA)のレーザーレーダー搭載衛星CALIPSO(カリプソ)による宇宙からの計測と、国立環境研究所がアジア域で展開する地上レーザーレーダーネットワークの計測結果とよく一致した。

 タクラマカン砂漠での大規模な黄砂は年間4-6回程度発生している。研究グループによると、対流圏上部に運ばれた黄砂は氷晶核として作用し、巻雲の形成を促し、巻雲が増えると温暖化が進むといわれている。他方、大規模な黄砂の発生は、温暖化に伴って減少しているという報告もあるという。

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