自動車の排ガス浄化触媒などとして欠かせない希少金属、白金の利用効率を一挙に高めるナノ粒子製造法を物質・材料研究機構と科学技術振興機構が開発した。
山内悠輔・物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点若手独立研究員らが開発した製造法は、白金と界面活性剤、溶媒からなる水溶液に還元剤を添加することで、白金ナノ粒子を高速で合成する。還元剤を投入して約10分間でナノ粒子を製造でき、白金の収率も100%だった。ナノ粒子はコンペイトーのような形をしており、1グラムあたりの表面積が55平方メートル。これは、これまでさまざまな方法でつくられていた白金ナノ粒子のうちで最も表面積が大きいものよりさらに2倍近い値という。
ナノ粒子は表面積の大きさに加え、高い熱的安定性を持ち、さらに、投入する還元剤の量を加減することで、粒子の大きさを変えることができることから、用途にあったサイズの粒子を製造できる長所もある。
白金に限らず希少金属の確保は大きな課題となっている。触媒などに利用されている希少金属については、表面積をできるだけ大きくして使用効率を高めることが、限られた資源を有効に利用する方法として有力視されている。
今回開発された製造法は簡便で実用的な手法で、ルテニウム、ニッケル、コバルト、パラジウムなど他の金属との合金化も容易なことから、用途に合ったいろいろな組成の金属ナノ材料製造にも応用できる、と研究チームは言っている。