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免疫記憶の維持担う酵素解明

2009.03.13

 
一度体内に侵入した抗原をずっと覚えている生体防御の仕組みに欠かせない免疫記憶機能の担い手が、「ホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)」と呼ばれるリン脂質分解酵素であることを理化学研究所の研究チームが突き止めた。

 
同研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの黒崎知博・分化制御研究グループディレクターと疋田正喜・上級研究員(現・京都大学医学研究科)らが着目したのは、Bリンパ球の働きに欠かせないことが知られている酵素であるPLCγ2をつくるPLCγ2遺伝子。Bリンパ球は体内に侵入してきた異物(抗原)を認識して、それらを排除するためのタンパク質である抗体を作りだす役目を持つ。Bリンパ球が抗原と出合って活性化したときに、PLCγ2遺伝子だけが機能しなくなるようなノックアウトマウスを開発し、ウイルスなど抗原の代わりになるタンパクを投与して、PLCγ2の役割を詳しく調べた。

 
この結果、2度目に抗原を投与するとそれに反応して増えるはずの抗体は、通常のマウスに比べ最大10分の1しか産生されず、抗体を作るBリンパ球も最大20分の1に激減していることが分かった。

 
最初の免疫で免疫記憶を正常に形成した後で、PLCγ2遺伝子を機能しなくさせることができるノックアウトマウスも開発して同じ解析をしたところ、最初の免疫応答の際に生成し記憶機能を持ったBリンパ球は、PLCγ2遺伝子の機能喪失後に約6分の1に減少した。

 
これらの結果から研究チームは、リン脂質分解酵素「PLCγ2」が免疫記憶の形成に加え、維持にも不可欠であることが分かり、今後、高性能なワクチンや免疫賦活剤の開発への応用が期待される、と言っている。

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