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脊髄損傷でも機能回復の望み膨らむ

2009.01.29

 
脊髄(せきずい)を損傷してもリハビリにより、別の神経回路が働いて機能回復につながることを示す研究を続けている自然科学研究機構・生理学研究所の研究チームがまた新たな証拠を見つけた。

 
同研究所の伊佐正教授と西村幸男研究員(現ワシントン大学)は、脊髄損傷で指を動かせなくなったサルが、リハビリテーションによって指が動かせるようになることをこれまでの研究で明らかにしている。今回、機能回復の仕組みをさらに調べた結果、運動の指令を出していた大脳皮質運動野からの信号が途切れてしまっているにもかかわらず、障害によって弱くなった筋肉が互いに協働して活動するようになり、器用な動きを取り戻すことが確かめられた。筋肉の動きは1秒間に30-46 回という小刻みなもので、正常ではみられない動きだった。

 
機能回復が実現した理由について伊佐教授らは、本来、指の動きの指令を出していた大脳皮質運動野とは別の部位(反対側の運動野あるいは運動前野など)から、損傷で切れてしまった脊髄の回路とは別のバイパス回路を経由して、指の筋肉を協働して働かせる指令が出ているため、と説明している。

 
今回の成果は、交通事故などによる脊髄損傷で機能障害を負った患者にとって新たな朗報になると見られる。伊佐教授らは、「今後、いかにしてこの回復に重要な神経活動を外部から刺激し、効率のよいリハビリに結びつけるかが課題だ」と言っている。

 
この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として得られた。

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