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農業の世界進出提言

2009.01.15

 民間・非営利のシンクタンク「日本国際フォーラム」は、農業を成長産業と見なし、これまでの農業政策を抜本的に変革、世界進出を図るための政策提言をまとめ公表した。

 「グローバル化の中での日本農業の総合戦略」と題した提言は、本間正義・東京大学大学院教授を主査とするタスクフォースの約1年間にわたる研究、検討に基づいている。

 提言は、中長期的に推進すべき具体策として、まず農地利用を自由化した「経済特区」として、全国の農地の3分の1を「食料基地」とし、100ヘクタール規模の農業経営体1万を核とすることを求めている。「食料基地」は農地法など現在の農地規制の適用除外とし、農地の所有・利用ともに自由な権利移動を可能とする一方で、一定期間(例えば30年)は農地以外への転用を完全禁止する措置を取り入れる。現在の補助金制度はあらためて、経営支援は大型融資制度を設け、生産や規模拡大を刺激し、誘引する政策に切り替えることを提言している。

 現在、世界が食糧難にあえいでいる中で国内にだけ目を向けている日本は現在、約460万へクタールの農地のうち、39万ヘクタールの農地が耕作放棄されている。コメの生産量も約1,000万トンに抑えられている。提言は、コメの生産調整を抜本的に見直し、新たな日本のコメ作りの体制を築くことを求めている。具体的には、1,200万トンの生産体制を復活させ、現在、2,500万トンのコメ国際市場の中で日本のコメを位置づけ、生産調整緩和・廃止の道筋を示す工程表を作成することを求めている。

 このほか、日本の農業技術を途上国で活用する道を広げ、国際技術協力や政府開発援助を増強することや、農業技術の普及や現地での開発に日本の農業者を派遣し、協力体制を築くことの重要性も指摘している。

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