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コロンビア事故で船内宇宙服の改善など勧告

2009.01.05

 米航空宇宙局(NASA)は、2003年2月に起きたスペースシャトル「コロンビア」の爆発事故に関する調査報告書を公表した。

 報告書は、乗員7人の死亡が避けられなかった可能性がある直接的な要因として5つを挙げ、シャトルの打ち上げ、帰還時に乗員たちが身に着ける船内宇宙服や座席などについての改善項目なども勧告している。

 事故の発端は、打ち上げ時にはく落した外部タンクの断熱タイルの破片が機体を損傷、帰還時の大気圏最突入時に機内が高熱にさらされたためであることが分かっている。報告書によると、シャトルが機体のコントロールを失ってから、機内の減圧が起きるまでは40秒間。減圧は急速だったため、減圧が起きて数秒以内に乗員たちは何もできない状態に陥ったとしている。乗員室を含む機体の前方部が切り離され、意識を失ったかあるいは既に死亡した乗員たちは、上半身を固定されず、ヘルメットもきちんと付けていない状態で機体の回転力で振り回され、さらに致命的なダメージを負った。その後に乗員室が破壊され、現在では乗員を助ける手段はない状態に置かれた。

 その後、乗員たちがさらされた高速、低温、真空状態に近い環境、さらに地上に激突も致命的な要因に加えている。

 改善項目としては、パラシュートを用いた脱出機能が、乗員の手作業でスタートすることになっている現在の宇宙服の問題点などを指摘し、マニュアル作業のみに頼らない救出システムなどを勧告している。

 スペースシャトルは、当初、打ち上げ時、帰還時に乗員は宇宙服を着用してなく、1985年に起きたチャレンジャー爆発事故の後に現在の形になった。

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