気象庁は、今年1月から11月まで世界で観測された異常気象と気象災害をまとめた「世界の天候」(速報)を発表した。
速報によると、シベリア南部を含むアジアからアフリカ北部にかけて、3−11月の間、たびたび異常高温となった。モンゴルのウランバートルでは、3月の平均気温が平年値より6.6℃も高い零下2.4℃だった。一方、1、2月は、この異常高温地域に含まれる中国から中央アジア一帯にシベリアから南下した寒気による異常低温が続いた。低温や大雪など寒波の影響で中国では120人以上、アフガニスタンでは800人以上が死亡したと伝えられている。
被害が大きかったのは、5月にミャンマーに上陸したサイクロン「ナルギス」で、洪水や高潮などにより死者は13万人以上に上ったと伝えられている。夏のモンスーンに伴う大雨による被害がインド、パキスタン、ネパールでたびたび発生、インドでは6−9月に北部を中心に2,700人以上が死亡したと伝えられている。
大雨による被害はその他多くの地域でも見られた。
中国南部で6月、梅雨前線による大雨で120人以上が死亡、また中国南東部からインドシナ方面に接近・上陸した台風も多く、6月にはフィリピンで640人以上が死亡している。アルジェリアでは温帯低気圧による大雨で80人以上、イエメンで熱帯低気圧による大雨で70人以上が死亡したほか、異常多雨は欧州もたびたび見られウクライナでは7月に洪水により30人以上が死亡、米国中西部でも20人以上が大雨により死亡したと伝えられた。
カリブ海のハリケーンは、今年も平年より多く発生、8、9月には「グスタフ」や「アイク」などにより米国南部で70人以上、ハイチで350人の死者が出たと伝えられた。
気象庁が異常気象というのは、月の平均気温や降水量がその地点で30年に1回以下しか観測されない値を指す。