国立天文台ハワイ観測所、東京大学数物連携宇宙研究機構、マックスプランク天文学研究所の研究チームが、すばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置を用い、「ティコの超新星」の爆発時の光を観測することに成功した。
ティコの超新星は、デンマークの天文学者でケプラーの師としても知られるティコ・ブラーエが、1572年に肉眼で観測した。今回の観測は、離れた場所にある塵で反射された光が遅れて地球に到達する現象を利用している。観測されたスペクトルはケイ素の強い吸収線があり、水素原子の吸収線がないことから、Ia型の超新星爆発であると確認された。
Ia型の超新星爆発は、連星系を構成する白色矮星が相手の星から降り積もったガスの重みで圧縮され、暴走的核融合反応を起こすことで発生する。超新星の正体が分かったことで、これまではっきりしていなかったティコの超新星までの距離が、約12,000光年であることも確かめられたという。