肺がんの特効薬開発が期待できる動物実験結果が、間野博行・自治医科大学教授らによって得られた。
間野教授らは、昨年、新たな肺がんの原因遺伝子「ELM4-ALK」を発見し、大きな関心を集めた。今回、この遺伝子によって肺がんを発症するマウスをつくった結果、生後わずか数週間で肺に数百個もの肺腺がんができ、ELM4-ALK遺伝子が間違いなく肺がんの原因遺伝子であることが確認された。
そのマウスに、ELM4-ALK遺伝子の働きを抑えると期待されるALK阻害剤を投与したところ、がんが急速に消失し、特効薬とも言える治療効果が見られた。
現在、複数の製薬会社がALK阻害剤を開発しているが、間野教授らが作り出したELM4-ALKマウスは、効果的な阻害剤を開発する上で重要なモデル動物になる、と同教授らは言っている。
米国では、既にEML4-ALKによって起きる肺がんに対するALK阻害剤の臨床研究がスタートしているという。
この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業・チーム型研究「テーラーメード医療を目指したゲノム情報活用基盤技術」の一環として得られた。