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どちらの親由来か分かる染色体分離技術開発

2008.11.21

 
父親、母親それぞれから引き継いだDNA配列が対になってできている染色体を完全に分離して、それぞれのDNA配列を調べることを可能にする技術を、放射線総合医学研究所の研究チームが開発した。

 これまで染色体のDNA解析では両親由来のDNAが混在してしまい、どちらの親から引き継いだDNAなのか分からなかった。新しい技術は、遺伝が関係する病気の発症機構などを調べる新たな手法になると期待されている。

 これまで染色体の完全なDNA分離ができなかったのは、対をなす染色体DNAの物理化学的性質が同じで、水溶液中で希釈分散させると、DNAが不安定化して細切れになったり、くっつきあったりしてしまうためだった。

 同研究所重粒子医科学センターゲノム診断研究グループ(今井高志グループリーダー)の道川祐市・主任研究員らは、アガロースゲル担体と呼ばれるゲル状物質の中で染色体DNAを1分子レベルにまで希釈分散させてからゲルを小容量ずつ分注する、という巧みな手法を用いた。これにより、両親から1本ずつ伝わる2本の染色体DNAの断片を1分子レベルで単離し、さらにそれぞれを約10万倍に増幅する技術の開発に成功した。

 ゲノム研究の大きな障害が取り除かれたことで、両親から伝わる2種類の遺伝情報をそれぞれ識別しながら解読する新たな道が切り開かれ、完全なヒトゲノム解読が可能になる、と研究チームは言っている。

 父親由来と母親由来からなる1対の染色体は個人個人で異なっており、これらの違いが、人の顔つきや身長、酒に対する強さ、寿命の長さ、さまざまな病気にかかりやすいかどうかなどを決めていると考えられている。

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