レーザー光を使わずに通常の照明で撮影し、瞬時にホログラフィを再生表示する立体映像システムを情報通信研究機構が開発した。立体映像はまだ1センチと虫眼鏡が必要なほどの大きさだが、3年後に再生像を約4倍に拡大することを目指している。
被写体を立体的に表示するホログラフィは、自然でリアルな立体像が表示可能な技術として知られる。しかし、撮影は暗室内でレーザー光を照射して行うため、大きな物体や風景、生物などの撮影は困難という大きな制約があった。また、カラー撮影は、赤、青、緑のレーザー光を時間的に切り換えて照射するため、動いている被写体の撮影が困難だった。
情報通信研究機構が開発したシステムは、多数の微小なレンズを並べて構成された複眼レンズを、記録、再生の双方で用いるインテグラルフォトグラフィという技術を応用した。被写体を通常の照明下で撮影し、その画像について、高速な演算処理を行うことでホログラム(光の情報を干渉縞と呼ばれる明暗パターンを持つ縞模様として写真乾板など平面の媒体に記録)をつくった。
この技術の開発により、将来の立体テレビ、立体映像を利用したコミュニケーションへの応用が期待できる、と同機構は言っている。