コンピュータソフトの開発過程を生産者と発注者の双方が一目でわかる仕組みを、関係メーカー、独立行政法人、大学などが共同で開発、規格化した。
「ソフトウェアタグバージョン1.0」と名付けられたこの規格に従って、ソフトウェア販売者(受注者)が、開発時に得られる種々の実証データを収集し、発注者に提出すれば、発注者は納入されたソフトウェアの品質を検証することができ、適正なソフトウェア製品の選択が容易になる。
短期間でますます複雑な開発を強いられているソフトウェアの世界では、開発者任せの開発になり、発注者が納品の品質を検証できないという実態が生じている。この結果、ユーザは機能と値段などの情報が入手できるだけで、要望に合ったソフトウェア商品を選択するのが困難になっているほか、問題が発生した場合、原因や責任の所在を突き止めることも難しくなっている。
新しい規格により、開発時からユーザも開発状況を知ることができるようになり、また、重大問題発生時の原因究明や法的紛争時に第三者による評価を行う際や、ソフトウェア部品などの評価を行う際にも規格を活用することができる。
新規格は、文部科学省 次世代IT 基盤構築のための研究開発「エンピリカルデータに基づくソフトウェアタグ技術の開発と普及」(研究代表者:松本健一・奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授)の一環として、委託を受けた「ソフトウェアタグ規格技術委員会」(コンピュータソフトメーカー、独立行政法人、大学など14組織27人で構成)が、1年近くかけて検討した。
「ソフトウェアタグバージョン1.0」はhttp://www.stage-project.jp/seika_dl.phpからダウンロードできる。