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室温で強磁性、強誘電性併せ持つ物質開発

2008.10.01

 室温で強い磁性と誘電性を併せ持つ新物質を上智大学理工学部の研究チームが開発した。1個のメモリーセルに複数の情報を蓄積できる多値メモリーや、この物質の電気磁気効果を利用した全く新しいデバイスの実現につながる成果として注目される。

 上智大学理工学部の坂間弘・教授と市川能也・助教(現・京都大学化学研究所 助教)らがレーザーを使った薄膜作製法で作り出した新物質は、チタン酸ストロンチウムの基盤上に鉄酸ビスマスとクロム酸ビスマスを1原子層ずつ交互に積み重ねた構造をしている。鉄酸ビスマスとクロム酸ビスマスが、超格子と呼ばれる結晶格子を形作っている。この超格子が、室温で強磁性と強誘電性併せ持つことを明らかにした。

 強磁性と強誘電性を兼ね備えた物質は、全く新しいデバイスの実現が期待できることから内外で多くの研究が行われている。しかし、これまでは、零下130度以下という低温でのみこうした性質を示す物質しか見つかっていなかった。

 坂間教授らの研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業の一つ「環境保全のためのナノ構造制御触媒と新材料の創製」研究領域から得られた。

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