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タンパクの構造解析容易にする手法開発

2008.09.30

 結晶化が難しいため立体構造が分かっていない多くのタンパクについて、遺伝子操作により一部の部位を変えることで全体の構造解析を可能にする方法を理化学研究所のグループが開発した。

 理化学研究所・放射光科学総合研究センタータンパク質結晶構造解析研究グループの水谷尚志研究員、国島直樹グループ副ディレクターらが開発した方法は、目的とするタンパクの接触部分(アミノ酸残基)を別のアミノ酸に置き換える部位特異的変異という手法を用いている。この方法で結晶化したタンパクを大型放射光施設SPring-8の放射光を用いて調べたところ、X線回折法による分解能が大幅に向上したタンパク結晶がいくつも得られることが確認された。

 タンパクの研究が進む一方、膜タンパクなど病気の原因に深くかかわっている重要なタンパクの多くは、立体構造の解明が遅れていた。構造解明に使われる現在のX線回折法ではまずタンパクを結晶にすることが不可欠だが、これが難しかったためだ。

 今回の成果は、治療困難な病気に効果的な薬の設計を可能とし、創薬のスピードアップにもつながると期待されている。

 現在、国家基幹技術として開発が進められているX線自由電子レーザーでも、膜タンパクなど従来のX線回折法で困難だったタンパクの構造解析(結晶にしなくても構造が分かる)が、大きな開発の意義の一つになっている。

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