ニュース

断層挟み複雑な地殻変動「だいち」が観測

2008.05.21

 宇宙航空研究開発機構は、中国四川省で発生した大地震について陸域観測技術衛星「だいち」による緊急観測を20日も実施、地震前に取得していたデータとの比較からどのよう地殻変動が生じたかを示す画像を公表した。

 今回の観測データはこれまでの光学センサによるものと異なり、Lバンド合成開口レーダによる観測であるため、衛星と地表面との距離の変化を精密に測定できる。観測場所は、震源からそれぞれ約150キロ、約120キロ離れた綿陽市、徳陽市を含む地域一帯。地震は、実際には震源から北東方向に伸びる断層の300キロ前後が動いたと見られていることから綿陽市、徳陽市とも地震を起こした断層からは数十キロしか離れていない(2008年5月20日レビュー「中国西部地震の大きさ」参照)。

 公表された画像は、地震を起こした断層を挟む南北700キロにわたる地域が地震前と地震後でどのように変化したかを色の違いで示している。宇宙航空研究開発機構は「断層の南側で50〜60センチ地面が衛星に向かって近付いている」(地殻変動)」と説明している。ただし、画像を見る限り、断層の南側全体が衛星に向かって近付いている(隆起した)わけではなく、逆に沈下したところと隆起したところが波状に見られ、地殻変動の様子は複雑だったことがうかがわれる。

 断層近傍の南北200キロ、東西75キロを拡大したもう一つの画像からは、「最も変動が大きいと思われる断層直上、またその近傍では、変動が大きすぎて検出できなかったが,その領域の北側には衛星から遠ざかる変動があり、南北に目玉状の変動縞(しま)が分布することがわかる」と宇宙航空研究開発機構は説明している。

 今回の地震を起こした龍門山衝上断層は、南西−北東方向に伸び、北西側に傾いており、地震は北西側の地層が、南東側の地層に対してずり上がる逆断層によることが、現地調査や国内での地震波の解析で明らかになっている。

 現地入りしている林愛明・静岡大学教授からの「現在までに確認できた地表地震断層の長さは250キロ以上に達する。また、縦方向変位量は最大で約5メートル。地震断層の南部セグメントにおいてほとんど逆断層だが、北部セグメントでは局部的に若干の右ずれを伴っている。地震断層沿いに、特に北部セグメントにおいて、余震による地すべりが頻繁に起きており、二次災害が発生している。救援活動に大きな支障になっており、調査中も、地すべりの発生様子を観察することができる」という報告(21日付)が、東京大学地震研究所のホームページに載っている。

陸域観測技術衛星「だいち」による中国・四川地震被災地観測画像
地震前と地震後を比較した画像断層(黒棒)近傍の拡大図。南北に目玉状の変動縞(しま)が分布している(白丸で囲んだ部分)
地震前と地震後を比較した画像(左)。赤を最大に、橙、黄、緑の順で衛星との距離が近づいた(隆起)。逆に紫を最大に青、空色の順で衛星から遠くなっている(沈下)。黒棒が断層の位置。右は地震後の画像断層(黒棒)近傍の拡大図。南北に目玉状の変動縞(しま)が分布している(白丸で囲んだ部分)
(提供:宇宙航空研究開発機構)

関連記事

ページトップへ