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ソーシャルビジネス育成に法的支援も

2008.04.04

 高齢者・障害者の介護など社会的な課題解決を事業として担う「ソーシャルビジネス」を日本でも育成、支援することが必要だ、とする研究会の報告書を経済産業省が公表した。

 少子高齢化の進展や人口の都市部への集中などにより高齢者・障害者の介護・福祉、青少年・生涯教育、町づくり・町おこし、環境保護、貧困問題といった社会的課題が、顕在化してきた。行政だけでは対応できなくなっていることから、民間でこれらの課題解決に当たるソーシャルビジネスの役割が大きくなっている。

 国内のソーシャルビジネスの市場規模は、約2,400億円、事業者数は約8,000、雇用規模は約3万2千人。NPO法人が約半数を占め、営利法人(株式会社・有限会社)は約2割にとどまっており、NPO、会社ともソーシャルビジネスを進めるにはそれぞれ制約があることを報告書は指摘している。

 まず、ソーシャルビジネスの認知度が非常に低い。さらに、株式会社は出資を受けられるが、NPO法人は出資を受けることができない。他方、NPO法人は社会性のある活動を取り組む法人格として一定の外部説明力があるが、株式会社の場合は営利目的の組織と見なされがちといった制約がある。こうした問題を解決するため、社会性と事業性を兼ね備えた組織に対し新たな法人格を与え、国の信用力をもってソーシャルビジネス事業者の信用を補完するとともに、資金調達の面でも便宜を図る法制度を構築することを報告書は提言している。

 ソーシャルビジネスが発展している英国では、社会的企業向けにコミュニティ利益会社(CIC:Community Interest Company)という法人格が2004 年に創設された結果、社会性がある活動と認知されて収益事業を行っている団体が1310ある。これらを含め、英国のソーシャルビジネス規模は、事業者数約55,000、市場規模約270億ポンド(約5兆7千億円)、雇用規模は約77万5千人に及ぶといわれている。

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