慶應義塾大学は、2009年度から適用する新しい学費体系を発表した。グローバル社会のリーダー育成とその基盤強化、世界水準の大学としての発展を目的としている。全体として学部学生の負担は増えるが、海外留学時の負担軽減など、意欲的な学生への支援策を盛り込んでいる。また、入学金の減額に加え、家賃補助制度の新設など特に首都圏以外の出身者に対する負担軽減策も盛り込まれているのが特徴。
入学金は全学部とも現行34万円だが、これを20万円に減らし、新たに在籍基本料(年間6万円)を設けた。合算すると学部4年間(医学部は6年)の入学金・在籍基本料負担額は増えるが、入学金減額は全廃に向けての第1歩だとしている。新設される「在籍基本料」は、学生のキャンパスライフ支援・充実等のためとされている。
新設の家賃補助制度は、主に首都圏以外の出身者の支援を目的としており、1学年400人総数約1,600人に年間12万円を4年間(医学部、薬学部薬学科は6年)支給するもので、こちらは2008年度から実施する。
奨学金に関しては、創立150年記念事業の一環として創設された「未来先導基金」(30億円)のうち10億円を奨学基金に割り当て、留学生を対象とした新しい奨学金の支給を開始する。さらに、2009年度から学部学生を対象とした新しい奨学金を創設するとしている。
留学・休学中の学生に対しては、現在、留学・休学の2年目から授業料を半減しているが、これを1年目から全額免除とし、納付しなければならないのは、施設設備費と新設の在籍基本料だけとなる。
2009年度以降に入学する学生の負担総額を現行額と比較すると、初年度負担金は、文学、経済、法、商の文科系4学部がいずれも4.34%増となっている半面、医学、理工、総合政策、環境情報、看護医療の5学部は、0.84〜6.80%の減となっている。ただし、4年間(医学部は6年間)でみると、いずれも負担額は増え、特に文学、経済、法、商の文科系4学部は17.80%と増加率が大きく、医学、理工、総合政策、環境情報、看護医療の5学部は0.98〜6.70%増となっている。