太陽系の外縁部に未知の惑星が存在する可能性が高いことを、神戸大学の研究者たちが計算科学の手法で突き止めた。質量は、地球の0.3〜0.7倍で、地球と太陽との平均距離の80倍ものところを近日点とする楕円軌道を回っているとみられる。確認されれば、新しい「惑星」の定義を満たす天体である可能性が高いという。
神戸大学理学研究科のパトリック・リカフィカ研究員と、同惑星科学研究センター長の向井正教授らは、これまでに太陽系外縁部に見つかっている1,100個を超す天体の軌道分布を調べた。これらの中には、通常の惑星形成理論から予想される値より大きな離心率や軌道傾斜角を持つ天体がある。海王星のさらに外側に未知の惑星が存在する、と仮定すれば、これら太陽系外縁部の天体の軌道分布をすべて矛盾なく説明できるのではないか。こう考えた向井教授らが太陽系外縁天体群の軌道進化の数値シミュレーションを、惑星系が生まれてから40億年にわたって実行した結果、この“惑星”の存在が浮かび上がった。
“惑星”の軌道長半径は100〜175天文単位(1天文単位は地球と太陽の平均距離)、軌道傾斜角は20〜40度と計算で求められた。明るさは、近日点付近で14.8〜17.3等と見積もられ、現在計画されている大規模サーベイが始まれば発見されるはず、と向井教授らは言っている。