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H-ⅡAロケットの信頼性にまだ課題も

2008.02.25

 H-ⅡAロケット14号機による超高速インターネット衛星「きずな」の打ち上げは、強風のため時刻が3回変更されるという条件下で行われた。衛星の分離、太陽電池パネルの展開などの作業も予定通り行われ、約1週間後に静止軌道に乗る予定だ。初期機能確認などを経て、7月ごろから、デジタルデバイド解消に向けた技術試験などを始める。

 宇宙航空研究開発機構が実施していたH-ⅡAロケット打ち上げ業務は、昨年9月の月周回衛星「かぐや」打ち上げから、三菱重工業に移管されている。今回の打ち上げ後の記者会見で、三菱重工の川井昭陽・航空宇宙事業本部長は、「当社として2回目の商業打ち上げに成功して、打ち上げサービスが万全であることを示せた。H-ⅡAロケットの連続打ち上げ成功は8機となり、民間商用衛星打ち上げ受注に向けて、はずみがつくものと信じている」と述べた。

 しかし、技術的な問題で、当初15日に予定されていた打ち上げが延期されたことは、H-ⅡAロケットの信頼性にはまだ課題が残っている可能性を伺わせる。延期の原因は、打ち上げ準備作業中に、飛行時のロケットの姿勢をガスの噴射でコントロールする装置で不具合が見つかったためだ。三菱重工によると、この装置に燃料を送るタンクでガス漏れが見つかったという。このタンクは、宇宙機構の前身の宇宙開発事業団が1988年に確定した設計・製造工程を通過したもので、H-Ⅱロケットの時代から数えて、20回も打ち上げに成功した実績を持つ。三菱重工の前村孝志技師長は、「こうした実績があっても不適合の要素があることが確認された。さらなる連続打ち上げ成功に向けて、今回の経験を活かさなくてはならない」と、ロケット全体の信頼性をあらためて見直す考えを明らかにした。

 文部科学省は2005年度、H-ⅡAロケット6号機の失敗やたび重なる衛星の不具合を受け、103億円もの予算をかけて信頼性向上に取り組んだ。その結果、7号機では80件近い対策が施された。宇宙機構では、問題となったタンクについて、設計の問題ではなく製造に問題があった可能性も否定できないとの立場をとっている。これは、今回の打ち上げ延期に伴う追加費用を誰が負担するかという契約上の問題と絡む。設計段階の不具合であれば、費用は国が支払うことになるが、製造段階の不具合であれば民間側の負担となる。

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