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家族意思による延命治療中止の選択容認

2008.02.18

 症状が確実に進み、患者自身が死を自覚している亜急性型の終末期医療について検討していた日本学術会議が、延命治療の中止を選択の一つとして容認する報告をまとめ公表した。

 日本学術会議臨床医学委員会終末期医療分科会の体外報告「終末期医療のありかたについて−亜急性型の終末期について−」は、亜急性型の終末期について、「その先に死があることを患者自身が自覚しており、苦痛解除がしばしば十分ではなく、家族も患者と一心同体のごとき苦悩を経験する、といったいくつかの特徴がある」ととらえている。

 そのうえで「少しでも長く生きたいと希望する患者には、十分に緩和医療を提供しながら残された生を充実して生きられるように適確な援助を行う」とする一方、「緩和医療が十分に提供されていても、延命治療を拒否し、その結果、死期が早まることを容認する患者には、リビング・ウィルも含めその意思に従い、延命治療を中止する」としている。

 報告の特徴は、患者の意思が確認できないまま終末期を迎えた場合についても踏み込んだ考え方を示していること。「家族から延命治療の中止を要請されたときには、『患者に最善の医療』という観点から検討し、結論として要請を受け入れる場合と受け入れない場合があってよい」としている。

 これは、家族の意向を考慮すると同時に、それをうのみにせず医療側にも十分な責任を持たせたものと言える。「医療チームは家族と十分に話し合った上で、患者にとって最良の治療方針を判断する」としており、実際の手続きとして「家族構成者間に意思の相違はないか、を含めた家族意思の繰り返しての確認」の必要と、さらに家族の意思が一致している場合でも「なぜ家族が延命治療の中止を求めるのか、家族意思の内容の確認も求められる」と明記している。

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