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プレートの沈み込みは深さ660キロまで

2008.02.14

 地震、火山など地殻活動の原動力となっているプレートは、海溝部分で沈み込むが、深さ660キロのところでとどまっていることが愛媛大学、財団法人高輝度光科学研究センターの研究者によって確かめられた。

 入舩徹男・愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター長らは、大型放射光施設「SPring-8」の大型超高圧装置を使い、マントルの構造解明に挑んだ。マントルを構成していると考えられる物質を19万気圧、1,400℃という高温高圧下に置き、超音波をあてるという手法である。この方法で得られた、超音波が物質を通過する速度を、実際に地上で観測されている地震波速度と比べた結果、マントル遷移層(深さ410〜660キロ)のうち上部から中部の領域は、上部マントルと同じかんらん岩からできていることが確認された。

 一方、マントル遷移層の下部領域は、マントルを構成する候補物質と考えられていたかんらん岩とも、ざくろ石とも速度が異なり、ハルツバージャイト(斜方輝石かんらん岩)にもっとも近いことがわかった。ハルツバージャイトは、プレートの主成分であることから、マントル遷移層の下部は過去に沈み込んだプレートがたまっている「プレートの墓場」である可能性が高い、と研究チームは結論づけた。

 地球の内部は、表面を覆う薄い地殻と中心の核の間を地球全体積の8割に相当するマントルが占めている。このマントルは「上部マントル」「マントル遷移層」「下部マントル」の3つの領域から成っていることが、地震波の観測から分かっている。「マントル遷移層」がどのような構成になっているかは、マントルの動きを知る上でも、大きな関心事となっていたが、上部マントルと同じかんらん石を中心としたかんらん岩で構成されているという説と、ざくろ石が多い岩石(ピクロジャイト)からできているという二つの説があり、決着がついていなかった。

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