宇宙航空研究開発機構は、月周回衛星「かぐや」に搭載している月の地下構造を探る月レーダサウンダーの測定データ解析から、期待されている探査能力を持つことが確かめられたことを明らかにした。
月レーダサウンダーは、衛星から5メガヘルツのレーダ電波を月表面に向けて発信、地下から反射されて戻ってくる信号をデジタル処理して、地下の構造を調べる装置。昨年11月20日から21日にかけて実施した観測の結果、月の海にあたる地域の地下には主に溶岩から成る層状構造があることが確かめられた。
これまで月の地下構造については、米国のアポロ17号(1972年)の月レーダサウンダーによる限られた区域での調査結果があるだけ。かぐやによる今回の観測結果は、アポロ17号でデータが得られた2キロよりさらに深い数キロに及ぶ地下構造までとらえる能力を持つことが裏付けられたことを示す。
月が熱くやわらかかった時代からどのような過程を経て現在のように冷たくなったかなど、月の誕生以降の進化を探る貴重なデータが今後の観測から期待できる、と宇宙航空研究開発機構は言っている。