病原菌に感染したときにこれを迎え撃つ植物の免疫反応で中心的役割を担っているタンパクを、奈良先端科学技術大学院大学の研究グループが見つけた。
島本功教授らが見つけたタンパクはOsRac1と呼ばれ、細胞内で起きる生化学反応のスイッチ役をしているタンパクの一種。病原体が植物に感染すると、まず活性酸素が発生し、それをシグナルとしてさまざまな防御反応を起こすことが知られている。活性酸素の生成を促す触媒の役割を果たすのが、細胞膜に存在するNADPHオキシダーゼという酸化酵素であることも最近、明らかになっていた。
島本教授らは、OsRac1を中心とするタンパク複合体の構成も明らかにし、この複合体がNADPHオキシダーゼとの相互作用で活性酸素の生成を調節していることを解明した。
食糧増産に加え、バイオマス燃料供給という要請からますます求められている病気に強い植物の開発に貢献できる、と島本教授らは言っている。